私はアメリカの民間宇宙企業「SpaceX」が大好きです 。大好きポイントは挙げればきりがないのですが、リストにまとめると
発想が完全にSF
やることすべてがダイナミック
民間とは思えないほどの資金力
開発がオープン
ロケットにふざけたものを乗せて太陽系周回軌道に投入
などなど。
SpaceXを良く知らない人からすると「ふーん」という感じでしょう。でもちょっと待って。 これから挙げていく歴史をなぞってみればきっとあなたも今からSpaceXファン。 (筆者は宇宙系専門ではないので間違っている部分もきっとあります。寧ろ素人としての楽しみ方をお伝えできるかと思います)
以下では 英語のSpaceXの歴史をまとめたWikipedia のタイムラインを基に、 その時の公式プロモーション動画やフライト動画を交えて紹介 します。
SpaceX設立
SpaceXが発足したのはわずか 18年前 の2002年。このツイートの画像にはその喜びを全身で表しているCEOのイーロン・マスクが写っています。何でマラカス…
この時には小さかった会社が今では…というお話です。
この企業の歴史で重要となるのはこの「 イーロン・マスク 」です。
壮大な設立者の野望
イーロン・マスクについての詳しい説明は wikipedia にありますし、 日本語の本 もあります。ここでは簡単に彼の壮大な人生の野望を紹介しておきましょう。
彼は人類において重要だと思われることを3つ述べています。
インターネット
クリーン・エネルギー
宇宙
です。現在彼は48歳ですが、なんと 全ての項目において起業や事業進出 を果たしています。
あまり知られていませんが、オンラインで決済や送金ができる便利なサービス「 paypal 」を設立しています。
その時に得た資金で「宇宙」の分野に進出するために「 SpaceX 」を 2002年 に設立します。
さらには「クリーン・エネルギー」分野の促進のために電気自動車会社の「 Tesla 」に投資して、 2008年にはTeslaのCEO に就任。
とてつもない行動力 です。現在は交通システムを根本から変えるために「Hyperloop」社も設立し、凄い勢いでトンネルを掘っています。
ここで一番確認しておきたいのが彼とSpaceXの(現時点での) 最終目標 。下の画像をご覧ください。
これは公式画像です。そう、 火星に人類を移動させて複数惑星にまたがる種にしようとしている のです。SFの世界を現実にしようとしているんですね。
火星に人類を送るうえで重要となる点は以下の3つ。
再利用可能なロケット
巨大ペイロード(貨物を入れられる場所)
大人数の収容
再利用可能なロケットというのがかなり肝になってきます。再利用には、 大幅なコスト削減、帰還時も同じロケット、居住区の確保 といったメリットがあり、惑星間移動以外にも威力を発揮します。
SpaceXはこの要件を満たすべく、このリストの順番に沿ってロケットやシステムの構築を目指しています。では、その発展の歴史とこれからの予定を見ていきましょう!
Falcon1
SpaceXが最初に製造・打ち上げを行ったロケット。
実は今までのロシアやアメリカのロケットというのは、基本的に冷戦時代のICBMを基にして作られていました。
Falcon1では 民間で初となる液体燃料 を採用。液体燃料は運用上難しさがありますが、 固体に比べて比推力が高い のが特徴です。こんな分野にも果敢に取り組むのがSpaceX。
Falcon1は3回打ち上げに失敗しますが、 経営破綻寸前の4回目で成功 します。5回目では商業衛星を打ち上げ、これも世界初の民間商業打ち上げとなりました。
余談ですが、Falconの名前はスターウォーズに出てくる「ミレニアムファルコン号」から取っています。イーロン・マスクはSFの大ファンなので。
垂直離着陸試験機「Grasshopper」
順番的にはFalcon9の登場が先ですが、こちらを先に紹介。
SpaceXが最初に取り組んだ 垂直離着陸機 。とにかく下記の動画をご覧ください。
VIDEO
なんと、 打ち上げたロケットがそのままの状態で着陸 しています。とんでもない技術力。この試験機の成果を次のロケットである Falcon9 に取り入れて、とてつもない進化を遂げていきます。
Falcon9の登場(2010~)
VIDEO
始めのバージョンはfalcon1と同じエンジンを使っていましたが、後半は新規開発のエンジンを採用。打ち上げ能力を格段に引き上げ、 商業衛星市場を独占 しました。
Falcon9による再利用の試み
glasshopperで試験出来たとはいえ、まだ 着陸からの再利用はまだ未踏の分野 でした。そんな分野には 失敗 がつきものです。
Falcon9では ドローン船 および 地上のパッド での着陸を試みています。
かなり面白いので下の動画をご覧ください。タイトルは「 どうやってロケットの着陸を失敗させるか 」。何とこれ、公式動画です。
VIDEO
かなりの数の着陸失敗。それでもめげずにやるのがかっこいい。
何とか 2015年には着陸に成功 し、続いて海上のドローン船にも着陸しているんです。とんでもない精度ですよね。
その精度を確かめる、 ロケット側から見た再突入・着陸映像 をご覧ください。
VIDEO
2020年6月現在では46回の着陸に成功し、31回も第一弾ロケットを再利用して宇宙に飛ばしています。
Dragon宇宙船の活躍(2012~)
VIDEO
若干前後しますが、着陸を試みる少し前から 民間としては初めてのISS(国際宇宙ステーション)への補給船の開発 と打ち上げを行っています。日本でいうこうのとりですね。これも大幅な打ち上げコスト削減を実現し、現在でも頻繁に補給しています。
後ほど説明しますが、このDragon宇宙船の派生形がアメリカに有人飛行能力を戻しました。
FalconHeavyの登場
これは私が一番好きなロケット。Falcon9は高い打ち上げ能力を持ちますが、 惑星間を移動する探査船のような打ち上げには向きません 。そこでSpaceXはFalcon9を3つ連結したモジュールタイプの新ロケット「 FalconHeavy 」を考案。この動画は2015年の時のコンセプト映像です。
VIDEO
これ見た皆さん、「 いや、同時に左右のブースターがパッドに着陸ってあり得ないでしょ、流石にCG止まり。 」と思いますよね。この後の動画で確かめてみましょう。
FalconHeavyのデモフライト
デモフライトとはいえ、何か重いものをペイロードに入れて打ち上げないとデモになりませんよね!そこでSpaceX CEOのイーロン・マスクが考えた荷物はこちら!
イーロン・マスクが所有する愛車のRoadster です。
彼がCEOを務める企業「Tesla」の高級モデル。本人が複数企業のCEOを務めているからこそできる遊びですね!
では、こちらの打ち上げ動画を見てください。フルの打ち上げ動画ですが、 絶対にこれで見てほしい 。鳥肌必死です。(広告が入っており、埋め込みできないためyoutubeでご覧ください)
https://youtu.be/wbSwFU6tY1c?t=1308
聴衆の興奮、なぜか宇宙に放り出される車と宇宙服のマネキン、そして綺麗に、しかも同時に帰還する再度ブースター …なんて美しいんでしょうか。
これであなたもSpaceXの虜 になりましたね。
今この車はどこにいるんでしょうか。それに答えるサイトが有志の力で出来ています。 Where is Starman?
2020/06現在では何と火星の軌道を超えて太陽を周回しているようです(笑)
打ち上げをエモいダイジェストにまとめた動画もあるのでどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=A0FZIwabctw
CrewDragonが宇宙開発の歴史を変える
ここまでは去年までのお話。既にFalconHeavyは本格的に運用されています。
そして2020年、ついにSpaceXが 有人ロケットの打ち上げに成功 したのです。
打ち上げ映像をご覧ください。
VIDEO
アメリカはスペースシャトルの退役以降、 自国からの有人打ち上げ能力を喪失 していました。そこで始まったのが「 Commercial crew 」というプロジェクト。 民間主導の有人船開発 です。
他にも ボーイングのStarliner宇宙船 等が競って開発されていますが、 SpaceXが先に成功 しました。今後の予定では宇宙飛行士の野口さんがこのCrew Dragonに乗ってISSに行きます!
超巨大惑星間移動宇宙船「Starship」の開発
ここまでは全て過去のお話。長い道のりでしたが、最初にリストアップした惑星間飛行の条件のうち「 再利用可能 」という項目は達成していますが、 巨大ペイロードと大人数でのフライトは実現していません 。
そこでSpaceXが提案して絶賛開発中なのが「 Starship 」です。最初はBFR(Big Falcon Rocket,Big Fu**ing Rocket説もある)という名前でしたが、この単純な名称に落ちつきました。
まずは惑星間移動のコンセプト映像をご覧ください。
VIDEO
このロケットは2段に分かれていて、1段目が Super Heavy ロケット、2段目が Starship です。
こちらの 公式サイト を見るのが手っ取り早いです。何とStarshipの 直径は9m、高さは50m もあります。
惑星間移動の時の手順は以下の通り。
Starshipを地球軌道上に打ち上げ
Super Heavyが地球の打ち上げ場に垂直着陸
もう一台の燃料補給用Starshipを打ち上げ
Starship同士が結合して片方に燃料を渡し、帰還
補給されたStarshipが火星へ出発
もうSFの世界を超えてしまっていますね。こんなの不可能に思えますが、それは10年前にSpaceXが言われていたことです。きっと10年後にはこのロケットが活躍していることでしょう。
このロケットは 前澤社長が月に行く契約を取った として有名になりましたね。
さらに、 地球内での移動も用途として想定 しているようです。その衝撃のコンセプト映像がこちら。
VIDEO
東京からシンガポールまで28分 …えぇ…
将来的には現在の旅客機と比較できるほどの選択肢に入るとイーロン・マスクがtwitterで発言しています。 こちらの記事 にもありますが、このStarshipに800人ほどが搭乗して、一人当たりのコストは$1200、 日本円でおよそ12万円 ほどかかる見込みです。
宇宙に出れて30分以内に世界のどこでも行けるシステムが12万円です。
早くこの時代が来てほしいですね。
ということで、以下では現時点(2020/12)でのStarshipの開発を紹介します。
垂直離着陸試験機「Starhopper」
VIDEO
この名前、どこかで見覚えありませんか?そう、Falcon9の着陸用試験機「Glasshopper」に近いですね。これもStarshipの最下部だけ試験として作り、 150mホップ させたものです。直径は9mもあり、もはや 貯水タンクが浮いているレベル 。楽しい。
Starship試験機のSNシリーズ
Starhopperの成功後、 フルサイズのモデル が作られ公開されました。それがこちら。モデル名はMk1(マーク1)です。イーロン・マスクの中二病が出ています。
同時に火星や月の基地コンセプトも公開されています。
残念ながら英語のwikipediaしか見つかりませんでしたが、 Starshipの開発の現状 がまとまっています。
表にまとめてみると
モデル名
製造開始日
状態
Starhopper
2018/12
リタイア(試験成功)
Mk1
2018/12
爆発
Mk2
2018/12
建設中に破損
Mk4
2019/10
不明(開発中止)
SN1
2019/10
加圧テスト中に破損
SN2
2020/02
加圧テスト成功(加圧試験機)
SN3
2020/03
テストシーケンスのミスにより爆発
SN4
2020/03
加圧試験は成功。点火テスト直後に接続部トラブルで燃料漏れ、爆発
SN5
2020/04
150mホップに成功。現存
SN6
2020/05
150mホップに成功。現存
SN7
2020/07
タンクが加圧により破損
SN8
2020/07
12.5kmの飛行に成功。着陸に失敗し爆発
SN9
2020/08
完成し飛行テスト待ち。High Bay内で倒れているためテストは遅れる模様
SN10
2020/09
製造中
SN11
2020/09
製造中
SN12
2020/09
製造中
SN13
2020/10
製造中
SN14
2020/10
製造中
SN15
2020/11
製造中。大きな設計変更が入る
SN16
2020/12
製造中
また、TwitterではBrendanさんが開発の現状をグラフィカルにまとめてくれています。
このStarshipの開発ですが、 かなり難航 しています。もう普通の企業なら開発をあきらめているレベル。それでも 全モデルの完成や試験を待たずに次々と次のモデルを開発 しています。Falcon9の時よりも加速して。
Starshipの試験映像集
Mk1(初めての完成形を作り記者発表したかっこいい奴)
SN4 VIDEO
SN5 VIDEO
SN6 VIDEO
SN7 VIDEO
初飛行:SN8の12.5 km飛行&Belly Flap試験
VIDEO
非常に素晴らしい映像がこちら。
今までのテストは全て「一つのRaptorエンジン」「150mまでの飛行」「制御フラップなし」でしたが、今回は
3つのRaptorエンジン
12.5 km迄飛行
横倒しになり制御フラップで位置合わせ
着陸時の姿勢制御
を達成しました。大きな進歩です!
着陸を試みる場面の、真下からの映像も公開されました。
ただElonによると原因は既に分かっているようです。
燃料ヘッドタンクの圧力が低く、きちんとエンジンが推力を得られなかったようです。映像を見る限りは黒い煙が出ているので、やはり不完全燃焼のようになっています。
次はSN9です!期待ですね!
まとめ
SpaceX社の魅力とその野望が伝わったでしょうか?
今世界中で彼らと同じような民間の宇宙ベンチャーが数多く立ち上がっています。 AmazonのBlueorigin や Rocketlab それから日本の インターステラテクノロジズ 。
これから10年後の未来がもう楽しみですね!
SpaceXの情報を手に入れるにはCEOイーロン・マスクの twitter をフォローするといいでしょう。
私はアメリカの民間宇宙企業「SpaceX」が大好きです。大好きポイントは挙げればきりがないのですが、リストにまとめると
などなど。
SpaceXを良く知らない人からすると「ふーん」という感じでしょう。でもちょっと待って。これから挙げていく歴史をなぞってみればきっとあなたも今からSpaceXファン。(筆者は宇宙系専門ではないので間違っている部分もきっとあります。寧ろ素人としての楽しみ方をお伝えできるかと思います)
以下では英語のSpaceXの歴史をまとめたWikipediaのタイムラインを基に、その時の公式プロモーション動画やフライト動画を交えて紹介します。
目次
SpaceX設立
SpaceXが発足したのはわずか18年前の2002年。このツイートの画像にはその喜びを全身で表しているCEOのイーロン・マスクが写っています。何でマラカス…
この時には小さかった会社が今では…というお話です。
この企業の歴史で重要となるのはこの「イーロン・マスク」です。
壮大な設立者の野望
イーロン・マスクについての詳しい説明はwikipediaにありますし、日本語の本もあります。ここでは簡単に彼の壮大な人生の野望を紹介しておきましょう。
彼は人類において重要だと思われることを3つ述べています。
です。現在彼は48歳ですが、なんと全ての項目において起業や事業進出を果たしています。
あまり知られていませんが、オンラインで決済や送金ができる便利なサービス「paypal」を設立しています。
その時に得た資金で「宇宙」の分野に進出するために「SpaceX」を2002年に設立します。
さらには「クリーン・エネルギー」分野の促進のために電気自動車会社の「Tesla」に投資して、2008年にはTeslaのCEOに就任。
とてつもない行動力です。現在は交通システムを根本から変えるために「Hyperloop」社も設立し、凄い勢いでトンネルを掘っています。
ここで一番確認しておきたいのが彼とSpaceXの(現時点での)最終目標。下の画像をご覧ください。
これは公式画像です。そう、火星に人類を移動させて複数惑星にまたがる種にしようとしているのです。SFの世界を現実にしようとしているんですね。
火星に人類を送るうえで重要となる点は以下の3つ。
再利用可能なロケットというのがかなり肝になってきます。再利用には、大幅なコスト削減、帰還時も同じロケット、居住区の確保といったメリットがあり、惑星間移動以外にも威力を発揮します。
SpaceXはこの要件を満たすべく、このリストの順番に沿ってロケットやシステムの構築を目指しています。では、その発展の歴史とこれからの予定を見ていきましょう!
Falcon1
SpaceXが最初に製造・打ち上げを行ったロケット。
実は今までのロシアやアメリカのロケットというのは、基本的に冷戦時代のICBMを基にして作られていました。
Falcon1では民間で初となる液体燃料を採用。液体燃料は運用上難しさがありますが、固体に比べて比推力が高いのが特徴です。こんな分野にも果敢に取り組むのがSpaceX。
Falcon1は3回打ち上げに失敗しますが、経営破綻寸前の4回目で成功します。5回目では商業衛星を打ち上げ、これも世界初の民間商業打ち上げとなりました。
余談ですが、Falconの名前はスターウォーズに出てくる「ミレニアムファルコン号」から取っています。イーロン・マスクはSFの大ファンなので。
垂直離着陸試験機「Grasshopper」
順番的にはFalcon9の登場が先ですが、こちらを先に紹介。
SpaceXが最初に取り組んだ垂直離着陸機。とにかく下記の動画をご覧ください。
なんと、打ち上げたロケットがそのままの状態で着陸しています。とんでもない技術力。この試験機の成果を次のロケットであるFalcon9に取り入れて、とてつもない進化を遂げていきます。
Falcon9の登場(2010~)
始めのバージョンはfalcon1と同じエンジンを使っていましたが、後半は新規開発のエンジンを採用。打ち上げ能力を格段に引き上げ、商業衛星市場を独占しました。
Falcon9による再利用の試み
glasshopperで試験出来たとはいえ、まだ着陸からの再利用はまだ未踏の分野でした。そんな分野には失敗がつきものです。
Falcon9ではドローン船および地上のパッドでの着陸を試みています。
かなり面白いので下の動画をご覧ください。タイトルは「どうやってロケットの着陸を失敗させるか」。何とこれ、公式動画です。
かなりの数の着陸失敗。それでもめげずにやるのがかっこいい。
何とか2015年には着陸に成功し、続いて海上のドローン船にも着陸しているんです。とんでもない精度ですよね。
その精度を確かめる、ロケット側から見た再突入・着陸映像をご覧ください。
2020年6月現在では46回の着陸に成功し、31回も第一弾ロケットを再利用して宇宙に飛ばしています。
Dragon宇宙船の活躍(2012~)
若干前後しますが、着陸を試みる少し前から民間としては初めてのISS(国際宇宙ステーション)への補給船の開発と打ち上げを行っています。日本でいうこうのとりですね。これも大幅な打ち上げコスト削減を実現し、現在でも頻繁に補給しています。
後ほど説明しますが、このDragon宇宙船の派生形がアメリカに有人飛行能力を戻しました。
FalconHeavyの登場
これは私が一番好きなロケット。Falcon9は高い打ち上げ能力を持ちますが、惑星間を移動する探査船のような打ち上げには向きません。そこでSpaceXはFalcon9を3つ連結したモジュールタイプの新ロケット「FalconHeavy」を考案。この動画は2015年の時のコンセプト映像です。
これ見た皆さん、「いや、同時に左右のブースターがパッドに着陸ってあり得ないでしょ、流石にCG止まり。」と思いますよね。この後の動画で確かめてみましょう。
FalconHeavyのデモフライト
デモフライトとはいえ、何か重いものをペイロードに入れて打ち上げないとデモになりませんよね!そこでSpaceX CEOのイーロン・マスクが考えた荷物はこちら!
イーロン・マスクが所有する愛車のRoadsterです。
彼がCEOを務める企業「Tesla」の高級モデル。本人が複数企業のCEOを務めているからこそできる遊びですね!
では、こちらの打ち上げ動画を見てください。フルの打ち上げ動画ですが、絶対にこれで見てほしい。鳥肌必死です。(広告が入っており、埋め込みできないためyoutubeでご覧ください)
https://youtu.be/wbSwFU6tY1c?t=1308
聴衆の興奮、なぜか宇宙に放り出される車と宇宙服のマネキン、そして綺麗に、しかも同時に帰還する再度ブースター…なんて美しいんでしょうか。
これであなたもSpaceXの虜になりましたね。
今この車はどこにいるんでしょうか。それに答えるサイトが有志の力で出来ています。Where is Starman?
2020/06現在では何と火星の軌道を超えて太陽を周回しているようです(笑)
打ち上げをエモいダイジェストにまとめた動画もあるのでどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=A0FZIwabctw
CrewDragonが宇宙開発の歴史を変える
ここまでは去年までのお話。既にFalconHeavyは本格的に運用されています。
そして2020年、ついにSpaceXが有人ロケットの打ち上げに成功したのです。
打ち上げ映像をご覧ください。
アメリカはスペースシャトルの退役以降、自国からの有人打ち上げ能力を喪失していました。そこで始まったのが「Commercial crew」というプロジェクト。民間主導の有人船開発です。
他にもボーイングのStarliner宇宙船等が競って開発されていますが、SpaceXが先に成功しました。今後の予定では宇宙飛行士の野口さんがこのCrew Dragonに乗ってISSに行きます!
超巨大惑星間移動宇宙船「Starship」の開発
ここまでは全て過去のお話。長い道のりでしたが、最初にリストアップした惑星間飛行の条件のうち「再利用可能」という項目は達成していますが、巨大ペイロードと大人数でのフライトは実現していません。
そこでSpaceXが提案して絶賛開発中なのが「Starship」です。最初はBFR(Big Falcon Rocket,Big Fu**ing Rocket説もある)という名前でしたが、この単純な名称に落ちつきました。
まずは惑星間移動のコンセプト映像をご覧ください。
このロケットは2段に分かれていて、1段目がSuper Heavyロケット、2段目がStarshipです。
こちらの公式サイトを見るのが手っ取り早いです。何とStarshipの直径は9m、高さは50mもあります。
惑星間移動の時の手順は以下の通り。
もうSFの世界を超えてしまっていますね。こんなの不可能に思えますが、それは10年前にSpaceXが言われていたことです。きっと10年後にはこのロケットが活躍していることでしょう。
このロケットは前澤社長が月に行く契約を取ったとして有名になりましたね。
さらに、地球内での移動も用途として想定しているようです。その衝撃のコンセプト映像がこちら。
東京からシンガポールまで28分…えぇ…
将来的には現在の旅客機と比較できるほどの選択肢に入るとイーロン・マスクがtwitterで発言しています。こちらの記事にもありますが、このStarshipに800人ほどが搭乗して、一人当たりのコストは$1200、日本円でおよそ12万円ほどかかる見込みです。
宇宙に出れて30分以内に世界のどこでも行けるシステムが12万円です。
早くこの時代が来てほしいですね。
ということで、以下では現時点(2020/12)でのStarshipの開発を紹介します。
垂直離着陸試験機「Starhopper」
この名前、どこかで見覚えありませんか?そう、Falcon9の着陸用試験機「Glasshopper」に近いですね。これもStarshipの最下部だけ試験として作り、150mホップさせたものです。直径は9mもあり、もはや貯水タンクが浮いているレベル。楽しい。
Starship試験機のSNシリーズ
Starhopperの成功後、フルサイズのモデルが作られ公開されました。それがこちら。モデル名はMk1(マーク1)です。イーロン・マスクの中二病が出ています。
同時に火星や月の基地コンセプトも公開されています。
残念ながら英語のwikipediaしか見つかりませんでしたが、Starshipの開発の現状がまとまっています。
表にまとめてみると
また、TwitterではBrendanさんが開発の現状をグラフィカルにまとめてくれています。
このStarshipの開発ですが、かなり難航しています。もう普通の企業なら開発をあきらめているレベル。それでも全モデルの完成や試験を待たずに次々と次のモデルを開発しています。Falcon9の時よりも加速して。
Starshipの試験映像集
初飛行:SN8の12.5 km飛行&Belly Flap試験
非常に素晴らしい映像がこちら。
今までのテストは全て「一つのRaptorエンジン」「150mまでの飛行」「制御フラップなし」でしたが、今回は
を達成しました。大きな進歩です!
着陸を試みる場面の、真下からの映像も公開されました。
ただElonによると原因は既に分かっているようです。
燃料ヘッドタンクの圧力が低く、きちんとエンジンが推力を得られなかったようです。映像を見る限りは黒い煙が出ているので、やはり不完全燃焼のようになっています。
次はSN9です!期待ですね!
まとめ
SpaceX社の魅力とその野望が伝わったでしょうか?
今世界中で彼らと同じような民間の宇宙ベンチャーが数多く立ち上がっています。AmazonのBlueoriginやRocketlabそれから日本のインターステラテクノロジズ。
これから10年後の未来がもう楽しみですね!
SpaceXの情報を手に入れるにはCEOイーロン・マスクのtwitterをフォローするといいでしょう。